T.T.の読書日記

小説,エッセイ,ノンフィクションなどの感想を書きます。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「雑談力が上がる話し方 30秒でうちとける会話のルール」齋藤孝

高校のころ,非常に面白い授業をする国語の先生がいた。その先生は授業の冒頭は必ず雑談から入る。野球観戦に行ったらホームランボールが飛んできた話や,昔の教え子の話など,授業の本筋とは関係ないのに6年以上たった今でも頭の片隅に残っている。雑談の落…

「品がいい人は,言葉の選び方がうまい」山口謠司

自分もついに4月から新社会人となるため,社会人としてふさわしいような言葉遣いの参考になればと思い読み始めた1冊。 正直,自分の期待していたような内容ではなかった。 「おなざり」と「なおざり」の使用法の違いや「叔父」と「伯父」の使用法の違いなど…

「読んでいない本について堂々と語る方法」ピエール・バイヤール

読書ブログをつけている私にとって禁忌ともいえるこの本を,題名のインパクトに負けて手に取ってしまった。 題名からは小手先のテクニックを伝えるようなハウツー本を連想させるが,実際は本質的な読書論である。 一般的に読書というのはじっくり内容を理解…

「夏草の賦」司馬遼太郎

土佐藩の大名であり,四国統一を果たした長曾我部元親の一生を描いた歴史小説。 元親が四国でなく本州に生まれていたならば,天下を取ったのは織田信長ではなく長曾我部元親であったかもしれないと思わせるような理想のリーダー像が描かれている。 元親はと…

「モルフェウスの領域」海堂尊

チームバチスタシリーズのスピンオフのような位置づけの医療ミステリーである。 舞台はコールドスリープが実用化された近未来である。「モルフェウス」は,9歳にして網膜細胞腫という眼の小児がんを患い,将来的な治療法の確立に期待し,5年間の眠りについた…

「運命の人」山崎豊子

1972年に起きた外務省機密漏洩事件(通称「西山事件」)を題材とした山崎豊子さんのフィクションである。 山崎作品でいうと「沈まぬ太陽」と同じタイプの正義感の持ち主である主人公が巨大な組織に闘いを挑むという物語である。ジャーナリスト出身である山崎の…

「成しとげる力」永守重信

日本電産の創業者である永守重信氏が書いた,自伝に近いビジネス本である。 28歳で従業員4名から始まった日本電産を今や世界に300社を超えるグループ企業を擁し,従業員11万人を超える「世界一の総合モーターメーカー」にまで成長させた成功談が述べられてい…

「幸福な食卓」瀬尾まいこ

中学時代に課題図書として配られ,初めて読んだ作品。 自分では決して手に取ることのないタイプの小説だったのだが,想像以上に面白く,何度も読み返しているお気に入りの作品である。 物語は,主人公,中原佐和子の父親が「父親をやめる」というところから…

「塩狩峠」三浦綾子

中学の時に初めて読み,感銘を受けた作品。 当時は信夫の境遇を哀れむとともに,その正義感に感心するにとどまっていたが,いろいろと社会背景が理解できるようになった今になって読むと,一つ一つの事柄の裏事情が読めるようになり,より一層物語の世界に没…

「思考の整理学」外山滋比古

非常に面白い作品であった。35年以上も前に執筆された作品であるとは思えないくらい文章が洗練されており,これまで言葉にできなかった思考の形をうまく言語化してくれたような思いがした。 本書は「グライダー人間になるな,飛行機人間になれ」といったよう…

「暗いところで待ち合わせ」乙一

視力を失い,一人静かに暮らすミチルの家に殺人犯として追われるアキヒロが忍び込む。目が見えないため,アキヒロの気配には勘付きつつも,その恐怖から知らぬふりを決め込むミチルと,ミチルに勘付かれないよう居間の隅っこでうずくまって暮らすアキヒロの…

「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス

日本でも何度もドラマ化されている本作品だが,個人的には活字で読むことを強くお勧めしたい作品である。 物事に対する知見が浅いがゆえにすべてを楽観的にとらえることのできる,術前のチャーリーと,高い知性を身に着けてしまったが故の苦悩に苛まれる,術…

「入社1年目の教科書」岩瀬大輔

ライフネット生命の創業者であり,副社長である岩瀬氏が書いた新入社員のバイブルである。転職を繰り返し4社を渡り歩いてきた経験から,効率的に仕事をこなし,周囲からの評価を上げる秘訣がつづられている。 全編を通した感想としては,会社で活躍するため…