T.T.の読書日記

小説,エッセイ,ノンフィクションなどの感想を書きます。

2022-02-23から1日間の記事一覧

「読んでいない本について堂々と語る方法」ピエール・バイヤール

読書ブログをつけている私にとって禁忌ともいえるこの本を,題名のインパクトに負けて手に取ってしまった。 題名からは小手先のテクニックを伝えるようなハウツー本を連想させるが,実際は本質的な読書論である。 一般的に読書というのはじっくり内容を理解…

「夏草の賦」司馬遼太郎

土佐藩の大名であり,四国統一を果たした長曾我部元親の一生を描いた歴史小説。 元親が四国でなく本州に生まれていたならば,天下を取ったのは織田信長ではなく長曾我部元親であったかもしれないと思わせるような理想のリーダー像が描かれている。 元親はと…

「モルフェウスの領域」海堂尊

チームバチスタシリーズのスピンオフのような位置づけの医療ミステリーである。 舞台はコールドスリープが実用化された近未来である。「モルフェウス」は,9歳にして網膜細胞腫という眼の小児がんを患い,将来的な治療法の確立に期待し,5年間の眠りについた…